交響詩「フィンランディア」を作曲した Jean Sibelius も、Nokia を興した Knut Fredrik Idestam も、フィンランド大統領の Carl Gustaf Emil Mannerheim 将軍も、『ムーミン』の作者の Tove Marika Jansson も、Linux を開発した Linus Benedict Torvalds も、みんな国籍はフィンランドなんだけど、実は全員スウェーデン人なんだよねぇ...。フィンランド国籍スウェーデン人。フィンランド国籍のフィンランド人で国際的に有名な人物って、実は意外といない...。(欧州は日本と違い国籍 [citizenship] と民族籍 [nationality] は区別するんです。どこかの国の国籍を取得すれば「○○国人」にはなるけれども、民族的に「○○人」になるわけではないことに注意。)
マンネルヘイム将軍の場合はたぶん、母語はスウェーデン語だったとは思いますが、もしかすると大人になって自分の民族意識はフィンランド人になっていた可能性もあります。こればかりは本人に訊いてみないとわかりません。音楽家の Liszt Ferenc(リスト・フェレンツ)[Franz Lis(z)t フランツ・リスト]もハンガリー王国で生まれたドイツ人だったのですが、なぜか彼はハンガリー語ができなかった癖に自分はハンガリー人だと非常にこだわっていました。ドイツ人だと呼ばれると怒ったと言うのは有名な話しです。とは言え、ブダペストの音楽大学の初代学長に就任し、中年にはハンガリー語を勉強し、ある程度はできるようにはなっていたようです。彼はハンガリーで生まれ、ハンガリーで活躍しましたが、ドイツ人の出身で、母語もドイツ語でした。はてさて彼は民族的にはいったい何人だったのでしょう? マンネルヘイム大統領の場合も同様の問題がありそうですね。
ちなみに、仲間由紀恵主演で NHK が放送したドラマ『テンペスト』に登場する“英国人宣教師”バーナード・ジャン・ベッテルハイムは実はハンガリー王国の国会の開催されていた立法上の首都であったポジョニュ市(ドイツ語名プレスブルク、スロヴァキア語名プレシュポロク、現在のスロヴァキア語名ブラティスラヴァ)出身のユダヤ人でした。たぶん、生まれた時は「ハンガリー国籍のドイツ系ユダヤ人」だったのではないかと思われます。彼はハンガリー国内の3つの大学で学んだ後、イタリアの大学で医学部に進み、後に英国に渡り、英国人女性と結婚し、英国国教会に改宗し、琉球王国に派遣されてきたのでした。その後、琉球に開国を迫りに訪れたペリーの黒船に便乗し、米国に渡り、南北戦争で軍医として従軍し、最後は米国で病没しました。彼はいったい何人だったのでしょうね?
ちなみに、現在のルーマニアの大統領の Klaus Werner Johannis もトランシルヴァニア生まれのルーマニア国籍のドイツ人です。母語は当然ドイツ語です。トランシルヴァニアのドイツ人の中心都市、ヘルマンシュタット(ハンガリー語名はナジセベン、ルーマニア語名はシビウ)生れで、同市の市長から大統領に上り詰めました。ちなみに1881年に初代ルーマニア国王に即位したドイツのジグマリンゲンのホーエンツォレルン=ジグマリンゲン家のカール・アイテル・フリードリヒ・ゼフィリヌス・ルートヴィヒ国王(ドイツ語ではカルル一世、ルーマニア語ではカロル一世)もドイツ人でした。
Question: You were born in Finland, but your mother tongue is Swedish. Do you call yourself a Finn, or a Swede? What is it like to be a Swede in Finland?
Torvalds: Oh, I'm a Finn, definitely. When Finland beats Sweden in ice hockey,
it's a national holiday, and Swedish-speaking Finns are celebrating. I only speak Swedish; there are no ties to the country of Sweden. And don't say "Swede in Finland," it's really "Swedish-speaking Finn" ("finlandssvensk" in Swedish, "suomenruotsalainen" in Finnish).
国際的に有名なフィンランド人 (スコア:0)
Re: (スコア:0)
第一候補はムーミン。次がヤンソンとリーナスでは。
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:2)
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:2)
フィンランド人といった時点で通常は国籍ベースとなる。
フィンランドの主要な民族の方はフィン人と呼ぶのが普通。
#でも日本国籍のツルネン・マルテイはフィンランド人って自称してるな。
あとマンネルハイム元帥・大統領の祖先がスウェーデンに住んでいたのは確かだけど、民族的にはドイツ系かスコットランド系じゃなかったっけ。
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:2, オフトピック)
フィンランド人といった時点で通常は国籍ベースとなる。
フィンランドの主要な民族の方はフィン人と呼ぶのが普通。
そう断言されても...。
日本においてはそのような明示的な区別はされておりません。色々な者が好き勝手に、かつカオス的に色々な語彙を使っています。個人的にそのように区別している者もおります。
#でも日本国籍のツルネン・マルテイはフィンランド人って自称してるな。
上の #2913957 のコメントで説明している通り、ヨーロッパ人の意識は例え日本国籍を取得したからと言って自分の所属民族意識が変わるわけではありません。また、フィンランド人とフィン人という区別 (?) も、それは日本人が勝手にしていることであって、彼自身はあくまでも suomalainen(スオミ人)ですから (^^)。
日本国籍を取得したラモスやサントスが「自分は日本人だ」とあちこちで主張していますが、あれは彼らが南米人だからです。アメリカ大陸は全て移民国家で、私の知る限り、どこも米国と同じ属地主義を取っています。だから、彼らは自分らは日本国籍を取得した以上もう日本人なのだと信じているわけです。でも、日本人としてはちょっと違和感がありますよねぇ...。それは日本も欧州と同じ血統主義国家だからです。
アメリカ大陸ではだいたい「アメリカ民族」とか「メキシコ民族」、「カナダ民族」、「ブラジル民族」、「アルゼンチン民族」なんてのは存在しえないわけで、国籍だけが区別の基準となりえます。だから、北米でも中南米でも移民一世は通常は自分の出身民族名を名乗ります。
欧州人にとって(これはアメリカ大陸人にとっても同じですが)「国籍」って日本で言えば「住民登録」のようなもので、単にその国で生きて行くための権利・義務を適用されるための手続きに過ぎないのですね。だから自分が移住した国の国籍を取ることにあまりためらいはありません。異国の国籍を取得したからと言って、自分の民族が変わるわけではありませんから。だから欧州域内で国際結婚をして、嫁ぎ先の国籍を取得したとしても、本人は相変わらず自分の出身民族を名乗るし、近所の人々も「あの○○さん家の○○人の奥さん」のように話します。(この時点で『日本人とユダヤ人』の帰化の説明は嘘だとわかります。)
と言うわけで、ツルネン・マルテイさんは(この前の選挙の時には駅前で彼から選挙のチラシを手渡されましたが (^^)♪)国籍は日本でも(つまり日本国人)、あくまでも民族はフィンランド人なのです。
あとマンネルハイム元帥・大統領の祖先がスウェーデンに住んでいたのは確かだけど、民族的にはドイツ系かスコットランド系じゃなかったっけ。
大昔の先祖にドイツやスコットランドからスウェーデンに渡って来た者がいると言うことには欧州ではあまりたいした意味はありません。欧州においては誰でもほぼ 100 % 様々な民族の祖先がおります。これが島国の日本との違いです。誰と話してもすぐ4つか5つ位の民族の血が入っていることは説明してくれるはずです。それもそんなに遠い先祖ではなく、祖母とか、従兄とか、叔母とか。通常、親戚縁者も世界中に散らばっています。
また、先祖がスコットランドやドイツから来ていたと言っても、あくまでも、それは先祖の一部に過ぎません。先祖は1世代溯るごとに倍々ゲームで増えて行きますから、あっと言う間に様々な先祖がいることになります。通常姓は父系で受け継がれますので、名字から「この家は○○系だ」等と言われますが、よくよく考えれば、確かに姓は父系で受け継がれますが、それは、そういう先祖がいたという証拠にしか過ぎず、遺伝的には他の民族の血の方が圧倒的に優勢な場合もよくあります。
マネールヘイム(マンネルハイム)の場合は直近の父母がスウェーデン人意識を持っていたと思われます。知識としては先祖がドイツやスコットランドに溯る者がいると知っていたかも知れませんが、たぶん、意識はスウェーデン人だったと想像できます。民族意識の基本は通常は母語です。(たぶん、スウェーデン人は彼をマネールヘイムと呼び、フィンランド人はマンネルヘイムと呼んでいたと思います。マンネルハイムは日本人が勝手にドイツ語読みしたものをカタカナにしたものでしょうね。)
マンネルヘイム将軍の場合はたぶん、母語はスウェーデン語だったとは思いますが、もしかすると大人になって自分の民族意識はフィンランド人になっていた可能性もあります。こればかりは本人に訊いてみないとわかりません。音楽家の Liszt Ferenc(リスト・フェレンツ)[Franz Lis(z)t フランツ・リスト]もハンガリー王国で生まれたドイツ人だったのですが、なぜか彼はハンガリー語ができなかった癖に自分はハンガリー人だと非常にこだわっていました。ドイツ人だと呼ばれると怒ったと言うのは有名な話しです。とは言え、ブダペストの音楽大学の初代学長に就任し、中年にはハンガリー語を勉強し、ある程度はできるようにはなっていたようです。彼はハンガリーで生まれ、ハンガリーで活躍しましたが、ドイツ人の出身で、母語もドイツ語でした。はてさて彼は民族的にはいったい何人だったのでしょう? マンネルヘイム大統領の場合も同様の問題がありそうですね。
ちなみに、仲間由紀恵主演で NHK が放送したドラマ『テンペスト』に登場する“英国人宣教師”バーナード・ジャン・ベッテルハイムは実はハンガリー王国の国会の開催されていた立法上の首都であったポジョニュ市(ドイツ語名プレスブルク、スロヴァキア語名プレシュポロク、現在のスロヴァキア語名ブラティスラヴァ)出身のユダヤ人でした。たぶん、生まれた時は「ハンガリー国籍のドイツ系ユダヤ人」だったのではないかと思われます。彼はハンガリー国内の3つの大学で学んだ後、イタリアの大学で医学部に進み、後に英国に渡り、英国人女性と結婚し、英国国教会に改宗し、琉球王国に派遣されてきたのでした。その後、琉球に開国を迫りに訪れたペリーの黒船に便乗し、米国に渡り、南北戦争で軍医として従軍し、最後は米国で病没しました。彼はいったい何人だったのでしょうね?
IT関係の皆さんだったらネットワーク理論のバラバーシ・アルベルト・ラースロー(アルバート=ラズロ・バラバシ)をご存知だと思いますが、彼は現在米国の大学で教鞭を執っており、彼の著書は日本では英語から翻訳されているために、日本では彼をアメリカ人だと信じている人が多いですが、実は彼はルーマニア領トランシルヴァニアのセーケイ地方出身のセーケイ人です。(セーケイ人とはハンガリー人の下位分類です。)そのため、現在彼はルーマニアとハンガリーと米国の三重国籍です。もちろん、彼の場合ははっきりしていて、民族的には彼はハンガリー人です。
ちなみに、現在のルーマニアの大統領の Klaus Werner Johannis もトランシルヴァニア生まれのルーマニア国籍のドイツ人です。母語は当然ドイツ語です。トランシルヴァニアのドイツ人の中心都市、ヘルマンシュタット(ハンガリー語名はナジセベン、ルーマニア語名はシビウ)生れで、同市の市長から大統領に上り詰めました。ちなみに1881年に初代ルーマニア国王に即位したドイツのジグマリンゲンのホーエンツォレルン=ジグマリンゲン家のカール・アイテル・フリードリヒ・ゼフィリヌス・ルートヴィヒ国王(ドイツ語ではカルル一世、ルーマニア語ではカロル一世)もドイツ人でした。
ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領も「ドイツ系ルーマニア人」ではなく「ルーマニア国籍のドイツ人」です。ドイツ語でも彼らは Rumäniendeutsche と呼ばれています。やはり基本はドイツ人なのですね。
Re: (スコア:0)
Linus Torvalds [wikipedia.org]
Nationality: Finnish, American
とあるけど。
Chitizenshipって市民権っていう意味じゃない?
Swedish Finnishってのは、日本語に訳すときは「スウェーデン人」ではなく、
スウェーデン系フィンランド人と訳すものじゃないの?
イタリア系アメリカ人 (Italian American)みたいに。
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:5, 興味深い)
Chitizenshipって市民権っていう意味じゃない?
citizenship を「市民権」と訳すのは、日本が(戦後は)移民国家(属地主義)の米国の制度を基準に全てを見ているから。戦前は日本のお手本は(血統主義の)欧州だったのですが、欧州と米国では制度が全く違います。
移民国家の米国では「民族」を認めてしまうと「アメリカ人」が存在しなくなってしまうので、米国籍を取得した者は全てアメリカ人だという建て前。だから nationality を国籍の意味で使っているわけです。もっとも当の米国人らは相変わらず自分たちでは「フランス人」だとか「ドイツ人」だとか名乗っている場合が多いので、『文明の衝突』を書いた Samuel Phillips Huntington が『引き裂かれる世界』で「米国では民族の多様性を認めてはいかん!」とぶち切れているのですが (^^;)。
で、米国は nationality と citizenship を同じ国民でも権利面で区別するのに使っているようなのですが、欧州では、英国も含めて nationality は民族籍の意味で使っています。で明示的に国籍を指す場合が citizenship(にあたるそれぞれの言語表現)。だから英国人に「あなたの nationlaity は?」と訊ねると「英国」(British または United Kingdom) とは答えずに、「イングランド人」とか「スコットランド人」、「ウェールズ人」といった答が返ってきます。これが nationality を「国籍」と覚えていたり、イザヤ・ベンダサンの『日本人とユダヤ人』で「国籍を取ったら人はその国の○○人になるのだ」といった説明を鵜呑みにした日本人には理解しづらいのです。
Swedish Finnishってのは、日本語に訳すときは「スウェーデン人」ではなく、
スウェーデン系フィンランド人と訳すものじゃないの?
えっとね、確かに日本ではそのように訳されてしまうことが多いのは事実です。でも、それは本質を理解していないからなのです。
これがややこしく、かつ難しいのですよ。例えば「日系アメリカ人」と言った場合、我々がイメージするのは「先祖が日本人だったのが米国に移民して、米国で生まれて母語も米語の人物」ですよね? だから意識も「アメリカ人」。しかし、ヨーロッパの場合は事情がちと違うのですよ。(かつ米国におけるヨーロッパ系の移民の民族意識も違う。)
だいたい「スウェーデン系フィンランド人」と言った場合には日本人は「先祖がスウェーデンからフィンランドに渡ってきた者で、彼自身はフィンランドで生まれ、母語もフィンランド語で、意識もフィンランド人(民族)だ」と思いませんか?
ヨーロッパの場合は、「あなたは何人?」と訊ねると、通常は国籍ではなく、民族籍を答えます。「国籍は?」と訊ねると、少数民族の場合は渋々自分の国籍を答えますが、本人は全く嬉しくない。だから「○○系○○人」みたいな言い方は絶対にしないのです。
この状況を日本人にも理解できるように比較的納得が行くかも知れない実例を挙げると、例えばベルリン・オリンピック当時、朝鮮は日本領だったわけです。で、朝鮮人の孫 基禎(ソン・ギジョン)が日本代表として金メダルを取ったのです。日本は大喜びでしたが、恐らく彼は内心はらわたが煮えくり返っていたことでしょう。金メダルを取ったのは嬉しいけれども、それが祖国を侵略し、植民地化した憎き国の名誉になってしまうわけですからね。(実は現在のオリンピックでも同様の問題は多いのです。結構各国で抑圧されている少数民族が活躍しており、彼らが金メダルを取ると彼らを抑圧している民族の名誉になってしまうのですね。)
彼は日本国籍でしたから、「日本国籍の朝鮮人」なわけです。でも、そう呼んだ方が「朝鮮系日本人」と呼ぶよりも自然ではありませんか? 彼は「日本国人」ではありましたが、(民族的に)「日本人」ではありませんでしたよね? 現代の我々も「ベルリン・オリンピックでは日本が金メダルを取った」とは思っていますが「ベルリン・オリンピックでは日本人が金メダルを取った」とは思っていないのではありませんか?
で、彼らがスウェーデン系フィンランド人なのか、フィンランド国籍のスウェーデン人なのかという問題をさらにややこしくしているのが、支配民族であるフィンランド人側からの主張があるからなのです。これはヨーロッパの他の地域でも国内に大量、かつ有力な少数民族を抱える国に多い考え方なのですが、フィンランドは公式には「我が国にフィンランド国籍のスウェーデン人等と言う者はいない。彼らはスウェーデン語を母語とするフィンランド人だ」と主張しているからです。(同様に、トランシルヴァニアを併合したルーマニアも「我が国にはハンガリー人はいない。ハンガリー語を話すルーマニア人がいるだけだ」と主張しています。もちろん、トランシルヴァニアのハンガリー人達は猛烈に汎発しており、口が裂けても自分らはルーマニア人だなどとは名乗りません。)
しかし、フィンランドやルーマニアの立場も理解できます。そうしないと業績のあるフィンランド人がいなくなってしまうからです。(スロヴァキアなんてのは1920年に人工的に作られた国家なので、過去の民族の歴史が一切存在しない民族です。)
で、この問題は研究者にも波及していて、日本におけるフィンランド研究者らは「フィンランドにスウェーデン人は存在しない」という立場を取る者が大多数です。この点において彼らは欧州の他の地域の研究者と対立しています。
フランス等は「元祖国民国家」なので「フランスに生れ、フランス語を話す者は全てフランス人である」という立場です。実は国内にはオック人(人口の4割程度? プロヴァンス語が母語です)やバスク人、ケルト系のブレトン人、ドイツ人、イタリア人、等が多数居住しており、彼らはフランスにおける少数民族だと主張していますが、フランス政府の公式な説明は「お前らは存在していない」です。
さらにスイスやオーストリアのような国の民族意識の問題も特殊です。
とまぁ、民族の問題は非常に複雑です。これらをきちんと理解するには相当な時間が必要になります。(話せばどんどん長くなります。)こういう典型的な「文系」の問題は「理工系」の問題のように「定義」をしてスパッと割り切れないのです。
と言うわけで、
① 欧州の民族・国籍の定義には米国モデルは使えない。
② 基本は国籍ではなく、民族籍である。
③ 日本で多用される「○○系○○人」という表現は本質を誤認させる恐れがあるので、極力使用すべきではない。
④ 一般的に文献等で目にする表現が必ずしも正しいわけではない。
という辺りをとりあえずご理解いただければと思います。
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:1)
では、 Linus Torvalds氏が自身をスウェーデン人だと認識しているという文献はあるの?
こんなインタビュー [linux.com]あるけど。
Question: You were born in Finland, but your mother tongue is Swedish.
Do you call yourself a Finn, or a Swede? What is it like to be a Swede in Finland?
Torvalds: Oh, I'm a Finn, definitely. When Finland beats Sweden in ice hockey,
it's a national holiday, and Swedish-speaking Finns are celebrating.
I only speak Swedish; there are no ties to the country of Sweden.
And don't say "Swede in Finland,"
it's really "Swedish-speaking Finn" ("finlandssvensk" in Swedish, "suomenruotsalainen" in Finnish).
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:5, 参考になる)
彼は自分自身を “finlandssvensk” ではなく “suomenruotsalainen” と主張しているということですね。フィンランドのスウェーデン人たちの民族意識は昔から非常に関心を持っておりました。
もっとも、上の2つの語彙は単にスウェーデン語かフィンランド語かの違いに過ぎず、日本語に訳せば「フィンランド・スウェーデン人」ですから(語順の問題です)、やはりスウェーデン人だと名乗っていることになります。英語なら Finnish Swede です。
彼が対スウェーデンのホッケーの試合でフィンランドを応援するというのは彼がフィンランド国民意識(国籍)を持っているということに過ぎず、民族的に自分がフィンランド人だと思っているかどうかはこの文章からは判断できません。
彼の主張は理解できます。フィンランドにおけるスウェーデン人は人口の 6 % 弱に過ぎませんが、(1970年代は 8 % でした)フィンランドではスウェーデン語も公用語にされており、少数民族政策が非常に民主的なために、スウェーデン人達もあまりスウェーデン人意識を持たないで済んでいるのかも知れません。(...と言うか、実はフィンランド民族主義自体が、スウェーデン王国に対するフィンランドのスウェーデン人たちのものだったりして...。ちょうど米国独立戦争を戦ったのは実は英国からの移民だったように...。ここら辺の民族意識の形成の問題はここで簡単に説明することは極めて困難です。)
同様に少数民族政策が非常に良いオーストリアのブルゲンラント州(旧ハンガリー王国領)のハンガリー人達も普通に「俺達オーストリア人は...」のような言い方をします。もちろん「ハンガリー人」とも使いますが。ま、これはオーストリアの特殊性で、オーストリア人とは国籍名なんですよね。民族的には主要民族はドイツ人ですから。でもオーストリアのドイツ人たちは自分たちでもあまりドイツ人とは言いたがりませんね。オーストリア人です。
ところがルーマニア領トランシルヴァニアのハンガリー人住民などは旅行者に「このハンガリーの居心地はどうだね?」のように訊ねます。彼らの意識はあくまでもルーマニアに占領されているだけであって、ここはルーマニアじゃないという意識なのですね。その理由はルーマニアの苛酷な少数民族弾圧政策にあります。
少数民族が十分保護されている国においてはあまり民族意識を持つ必要がなくなります。逆に抑圧が強ければ強いほど、民族意識は高まります。
#2913965 で紹介した米国在住のバラバーシ・アルベルト・ラースロー(アルバート=ラズロ・バラバシ)もいまだに強烈なハンガリー人意識を持っているのは、彼はハンガリー人として抑圧されていたルーマニア出身だからでしょう。
そういう意味で Linus Torvalds 氏のインタビューは民族問題の研究者には非常に示唆に富んでいるものです。感謝いたします。
「で、結局、彼はスウェーデン人なの? フィンランド人なの?」というご質問ですが、私はスウェーデン人だと考えます。個人の民族所属は基本的には本人の自覚です。自分が自分を何人だと考えているかが一番重要です。「じゃあ、彼は自分でそう言ってるんだからフィンランド人じゃないのか?」とおっしゃるのではないかと思いますが、ここでひとつ問題になるのは、彼の母語の問題です。恐らく彼はバイリンガルだとは思います。フィンランド語は十分堪能だと想像します。(本当のことはわかりませんが。)しかし母語がフィンランド語でない場合には、判定が非常に難しくなります。例えば、日本人の私が「自分はフランス人だと決めた。自分の民族意識はフランス人だ」と主張しても誰からも取り合ってもらえないでしょう。
恐らく彼本人と話していても、「じゃあ、それならこういうことになるが、本当にそうなのか?」とか色々突っ込めると思います。たぶん、そういう時には彼も「う〜ん...」と唸ってしまうことでしょう。つまり、質問のし方によって行く通りもの答が弾き出せるのです。
Re: (スコア:0)
それは、民族籍=母語の発祥地、とするってこと?
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:1)
インタビューではスウェーデン語しか喋らないと言ってるんだけど、ちゃんと読んでるの?
Re: (スコア:0)
インタビューのどこらへんで「スウェーデン語しか喋らない」と言ってるの?
Re: (スコア:0)
「じゃあ、それならこういうことになるが、本当にそうなのか?」とか色々突っ込めると思います。
たぶん、そういう時には彼も「う〜ん...」と唸ってしまうことでしょう。
つまり、質問のし方によって行く通りもの答が弾き出せるのです。
事実なんてどうでもよくて、詰問のテクニックを駆使して自分が好む回答を相手から引き出せれば満足、
というのが民族問題の研究手法というものなのか。
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:1)
フィンランド語が話せるとはっきり書かれています。
"I only speak Swedish"は「スウェーデン語しか喋らない」という意味ではないですよ。
「単にスウェーデン語を話すというだけ(で、スウェーデンという国とは関係ない)」という文章です。
Re: (スコア:0)
そんな無茶苦茶な「例え」を提示されても……。
あなたがフランスで生まれて、ご両親もフランス生まれで、フランスには「日本語を話す『日系フランス人』」一定数いて、フランスにおいて日本語が公用語として認められていて、その上であなたが「自分の民族意識はフランス人だ」と主張すれば、取り合う人は一定数いるはずですよ。
少なくとも、友人であれば。
下手な例え話を持ち出すのはやめましょう。
Re:国際的に有名なフィンランド人 (スコア:1)
なるほど確かにそうですね。失礼しました。
Re: (スコア:0)
なんでわざわざ朝鮮人の話混ぜるかなぁ