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一般の人がこれを買うとしたら、それは「本をより快適に読む」ために買うのだから、それには「自分が読みたい本が、電子書籍で利用可能な形で今後出てくるか」というのが一番考えるところ。データがなければ、数百ドルのただの板だもんね。
データ販売だと、当然現実世界に店舗をもつ本屋や、本の流通業者はお払い箱なので、反対するわな。出版社も生命線を握られている本屋や流通業者に喧嘩売るわけにはいかんので、データ出版はなかなか踏み出しにくい。ところがここにきて、一番の大口顧客であるamazonが、データで売ってくれといってきたら、そりゃもう心置きなくデータ出版に移れるよね。
つまりamazonの立場と規模があってこそ、やっと離陸が可能になった。既存の流通からそっぽを向かれても、amazonさんが買ってくれるならいーや、ってことね。
日本のようにメーカーがただ端末を出しただけでは、出版社は流通との対立を恐れてデータ販売に乗ってこない。今後の出版物が電子データで提供される保証がされていないものだから、消費者は専用端末に新たに投資する気にならない。だから日本での電子出版は既に普及している携帯電話やPDA、ゲーム機等を利用するしかない。
データの方も出版社は、流通やリアル本屋との対立を恐れて、電子流通専用に出版物を用意するケースが多い。しかもそれがメジャーになると、物理的な本としても流通させる心配りの良さ。
さて、どうなんかね。日本の出版社は、amazonに軸足をうつす度胸はあるだろうか?リアル本屋が街中からまったく消えてしまうのもさびしいが、去年引越しをして山ほど本を箱詰めして、運んで、また出す地獄を味わった後では、あれらが数百グラムの板一枚に収まるというのはとても魅力的だ。壁の一面を占める本棚も撤去できるし。
ソニーの電子ブックなんか、ハードウェアメーカーと出版社や印刷会社、書店が協力して制作、販売してたんだけど、もう、古い話だから若い人や電子出版に興味のない人は知らなくても仕方がないかな。出版社はメディアにはそれほど拘っていないことが多い。一番抵抗するのは中小の印刷所。中小印刷所は設備や印刷工を抱えていて、すぐには電子メディアに対応できない。ご老体の著者も冊子に拘る人がいる。
また、現状では冊子が先に出版されるので、最終的なデータは組版をした印刷会社が持っている。OCRで読み込んでも良いんだけど、そこまでするくらいなら、素直に印刷会社を絡めても良い気がする。
それと、オンラインでデータだけ売れば安くなってお得、みたいに考えている方がいるみたいだけど、小説などの一人で書く文学ならともかく、雑誌や辞典・事典、一部の専門書は編集者などのスタッフの仕事量が多いので、同じ感覚の値段付けだと出版できなくなる。ネットだと淘汰が激しいから、マイナーな分野の出版物は人の目に触れずに消えていく可能性も高い。
いや、だからソニーも松下も、もちろん出版側と協力してやろうとしたけど、積極的な協力を得られず、結局貧相なライブラリーしか揃えられなかったんで失敗したんでしょ。
少なくとも一部の版元はかなり積極的だったんじゃないですか。電子ブックやEPWINGの例であれば、岩波も三省堂も研究社も三修社も自由国民社も、海のものとも山のものとも付かない電子出版にかなりの初期投資をしているはずです。20年前のことですから、当然、メインフレーム上にオーサリングツールを構築して作業しているでしょうから。広辞苑の三版はたぶん、活字組みだから、新規に入力、校正しているでしょう。大辞林の初版は半分が活字組みだったかな。(たぶん、日外アソシエーツは社内に蓄積されたテキストデータ処理のノウハウと、適度な割り切りで、他社より安価に作っていたと思う)
当初のタイトルの価格設定が高すぎたから売れなかったとも考えられますが、それでも、ほとんどの版元はなかなか初期投資が回収できず、苦労したはずです。
それと、ラインナップが貧相でしたか? 記憶では電子ブックは250~300タイトルくらい発行されていましたが。確かに独和はクラ独だけ、仏和はクラ仏だけ、イタリア語もないし、そういう意味ではさみしいのですが。
文学系だと、エキスパンドブックだった新潮社の、「新潮社の百冊」や「~の文豪」シリーズがありましたが、それ以降は続きませんでしたね。やはり、版元が期待するほどには買ってもらえなかったのでしょうね。
しかし、ハードウェアメーカーや、版元、印刷所の台所事情をちょっと考えると、よく頑張っていたと思いますが。作ったら目の前で売れていくというような状態じゃなかったのですから。
数年間の販売期間の間、300タイトルしか提供されないと言う有様の、どこが豊富?本屋に入って300冊しか本が無かったらどう思う?その中に自分の欲しい本がどれだけ見つかると思う?
そのために数万円の端末に金を出す気になる?
日本でシグマブックとかリブリエが全くうまくいかなかった理由は、一番大きいのは携帯向けコンテンツに勝てなかったからですな。表示サイズ、バッテリーなどのハードウェア的な能力はともかくとして、事実上の主力コンテンツが収益性の高い携帯向けのお下がりだというのは致命的でした。
Kindleの場合、流通システムからコンテンツまで含めて全部Amazonが用意して、十分な準備期間をおいて展開したからここまでのヒットになりましたが、シグマブックにしろリブリエにしろ結局はハード屋さんのプロジェクトでしかなかったので営業力に桁違いの実力差がありますし、コンテンツが用意できないのも当然と言えば当然なんですが……。
日本はなまじ出版流通事情がよいので紙の出版物に対抗するのも大変です。たいていの都市で徒歩圏内の本屋に行けば話題になるような新刊が入手できるので、ネット配信にしたところで大して便利になるわけでもない。それと、マンガが多いのもマイナス要素ですね。今回出てきたKindle2や昨年の新型SonyReaderは16階調になりましたが、リブリエの頃はE-Inkのディスプレイは4階調で、マンガのスクリーントーンなんか表示がちょっと辛かったというのもあります。
日本でKindleと同じことをやって成功する可能性があるのは大手取次くらいでしょう。取次大手二社は前から電子ペーパーの研究をやってるし、Kindleがここまで成功したんだから検討くらいはしてるかもしれません。日本の書籍はサイクルが異常に早いし、旬を過ぎたらさっさと絶版にして電子化販売に切りかえるような流れが作れればまだ目はあると思うんですが……。
まさか、バックナンバーを扱ってるだけなんじゃ……?
技術系の雑誌は意外にお高いし買わなかった号に限って、参考にしたい情報もあったりとバックナンバーを揃えてる店は、それはそれで重要であります
バックナンバーが簡単にすぐに手に入るようになればなあ……
> さて、どうなんかね。日本の出版社は、amazonに軸足をうつす度胸はあるだろうか?
僕が卒論でお世話になったような本は、(少なくとも当時)ジュンク堂や紀伊國屋なんかには置いてませんでした。だから神保町の専門書店か、紹介状の必要な図書館になかったら諦めるしかなかったです。(在庫切れで取り寄せを依頼したら、入手不能の連絡が、数ヶ月後にが届いたり)
そういう、既成の流通ルートをあまり期待してなさそうな、学術書専門の出版社(お客は研究者か大学図書館)なら、そっちに賭ける気になるかもしれません。
もっとも、情報機器の扱いに熟達した教授や研究者の多い分野でないと望み薄...?
マス相手の内容で無いと二面作戦は無理だろうと思われます。
ましてや、主要購買層の学生相手の販売を海賊版の危機に陥れそうな方法は。
> リアル本屋が街中からまったく消えてしまうのもさびしいが、
amazonが来る前から、街中の本屋さんがどんどん潰れてます。残ってるのはコンビニと信長とジュンク堂くらい。
# 半年前に出た坊主本 [amazon.co.jp]を頼んだら2週間かかって「本屋オワタ」と感じてはや十余年...
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長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds
本屋がやってるとこがミソ (スコア:3, すばらしい洞察)
一般の人がこれを買うとしたら、それは「本をより快適に読む」ために買うのだから、
それには「自分が読みたい本が、電子書籍で利用可能な形で今後出てくるか」というのが一番考えるところ。
データがなければ、数百ドルのただの板だもんね。
データ販売だと、当然現実世界に店舗をもつ本屋や、本の流通業者はお払い箱なので、反対するわな。
出版社も生命線を握られている本屋や流通業者に喧嘩売るわけにはいかんので、データ出版はなかなか踏み出しにくい。
ところがここにきて、一番の大口顧客であるamazonが、データで売ってくれといってきたら、
そりゃもう心置きなくデータ出版に移れるよね。
つまりamazonの立場と規模があってこそ、やっと離陸が可能になった。
既存の流通からそっぽを向かれても、amazonさんが買ってくれるならいーや、ってことね。
日本のようにメーカーがただ端末を出しただけでは、出版社は流通との対立を恐れてデータ販売に乗ってこない。
今後の出版物が電子データで提供される保証がされていないものだから、消費者は専用端末に新たに投資する気にならない。
だから日本での電子出版は既に普及している携帯電話やPDA、ゲーム機等を利用するしかない。
データの方も出版社は、流通やリアル本屋との対立を恐れて、電子流通専用に出版物を用意するケースが多い。
しかもそれがメジャーになると、物理的な本としても流通させる心配りの良さ。
さて、どうなんかね。日本の出版社は、amazonに軸足をうつす度胸はあるだろうか?
リアル本屋が街中からまったく消えてしまうのもさびしいが、
去年引越しをして山ほど本を箱詰めして、運んで、また出す地獄を味わった後では、
あれらが数百グラムの板一枚に収まるというのはとても魅力的だ。壁の一面を占める本棚も撤去できるし。
ソニーの電子ブック (スコア:4, 参考になる)
ソニーの電子ブックなんか、ハードウェアメーカーと出版社や印刷会社、書店が協力して制作、販売してたんだけど、もう、古い話だから若い人や電子出版に興味のない人は知らなくても仕方がないかな。出版社はメディアにはそれほど拘っていないことが多い。一番抵抗するのは中小の印刷所。中小印刷所は設備や印刷工を抱えていて、すぐには電子メディアに対応できない。ご老体の著者も冊子に拘る人がいる。
また、現状では冊子が先に出版されるので、最終的なデータは組版をした印刷会社が持っている。OCRで読み込んでも良いんだけど、そこまでするくらいなら、素直に印刷会社を絡めても良い気がする。
それと、オンラインでデータだけ売れば安くなってお得、みたいに考えている方がいるみたいだけど、小説などの一人で書く文学ならともかく、雑誌や辞典・事典、一部の専門書は編集者などのスタッフの仕事量が多いので、同じ感覚の値段付けだと出版できなくなる。ネットだと淘汰が激しいから、マイナーな分野の出版物は人の目に触れずに消えていく可能性も高い。
Re: (スコア:0)
いや、だからソニーも松下も、もちろん出版側と協力してやろうとしたけど、積極的な協力を得られず、
結局貧相なライブラリーしか揃えられなかったんで失敗したんでしょ。
Re:ソニーの電子ブック (スコア:2)
少なくとも一部の版元はかなり積極的だったんじゃないですか。電子ブックやEPWINGの例であれば、岩波も三省堂も研究社も三修社も自由国民社も、海のものとも山のものとも付かない電子出版にかなりの初期投資をしているはずです。20年前のことですから、当然、メインフレーム上にオーサリングツールを構築して作業しているでしょうから。広辞苑の三版はたぶん、活字組みだから、新規に入力、校正しているでしょう。大辞林の初版は半分が活字組みだったかな。
(たぶん、日外アソシエーツは社内に蓄積されたテキストデータ処理のノウハウと、適度な割り切りで、他社より安価に作っていたと思う)
当初のタイトルの価格設定が高すぎたから売れなかったとも考えられますが、それでも、ほとんどの版元はなかなか初期投資が回収できず、苦労したはずです。
それと、ラインナップが貧相でしたか? 記憶では電子ブックは250~300タイトルくらい発行されていましたが。確かに独和はクラ独だけ、仏和はクラ仏だけ、イタリア語もないし、そういう意味ではさみしいのですが。
文学系だと、エキスパンドブックだった新潮社の、「新潮社の百冊」や「~の文豪」シリーズがありましたが、それ以降は続きませんでしたね。やはり、版元が期待するほどには買ってもらえなかったのでしょうね。
しかし、ハードウェアメーカーや、版元、印刷所の台所事情をちょっと考えると、よく頑張っていたと思いますが。作ったら目の前で売れていくというような状態じゃなかったのですから。
Re: (スコア:0)
数年間の販売期間の間、300タイトルしか提供されないと言う有様の、どこが豊富?
本屋に入って300冊しか本が無かったらどう思う?
その中に自分の欲しい本がどれだけ見つかると思う?
そのために数万円の端末に金を出す気になる?
Re:本屋がやってるとこがミソ (スコア:3, 興味深い)
日本でシグマブックとかリブリエが全くうまくいかなかった理由は、一番大きいのは携帯向けコンテンツに勝てなかったからですな。
表示サイズ、バッテリーなどのハードウェア的な能力はともかくとして、事実上の主力コンテンツが収益性の高い携帯向けのお下がりだというのは致命的でした。
Kindleの場合、流通システムからコンテンツまで含めて全部Amazonが用意して、十分な準備期間をおいて展開したからここまでのヒットになりましたが、シグマブックにしろリブリエにしろ結局はハード屋さんのプロジェクトでしかなかったので営業力に桁違いの実力差がありますし、コンテンツが用意できないのも当然と言えば当然なんですが……。
日本はなまじ出版流通事情がよいので紙の出版物に対抗するのも大変です。たいていの都市で徒歩圏内の本屋に行けば話題になるような新刊が入手できるので、ネット配信にしたところで大して便利になるわけでもない。
それと、マンガが多いのもマイナス要素ですね。今回出てきたKindle2や昨年の新型SonyReaderは16階調になりましたが、リブリエの頃はE-Inkのディスプレイは4階調で、マンガのスクリーントーンなんか表示がちょっと辛かったというのもあります。
日本でKindleと同じことをやって成功する可能性があるのは大手取次くらいでしょう。取次大手二社は前から電子ペーパーの研究をやってるし、Kindleがここまで成功したんだから検討くらいはしてるかもしれません。
日本の書籍はサイクルが異常に早いし、旬を過ぎたらさっさと絶版にして電子化販売に切りかえるような流れが作れればまだ目はあると思うんですが……。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:本屋がやってるとこがミソ (スコア:2)
電子出版なら、全国で同じ日に入手できていいかもしれません(書店が「紙の本と同じように、都道府県ごとに発売日をずらせること」と言い出すかもしれませんが)。
Re:本屋がやってるとこがミソ (スコア:2)
まさか、バックナンバーを扱ってるだけなんじゃ……?
技術系の雑誌は意外にお高いし
買わなかった号に限って、参考にしたい情報もあったりと
バックナンバーを揃えてる店は、それはそれで重要であります
バックナンバーが簡単にすぐに手に入るようになればなあ……
Re:本屋がやってるとこがミソ (スコア:1, 興味深い)
> さて、どうなんかね。日本の出版社は、amazonに軸足をうつす度胸はあるだろうか?
僕が卒論でお世話になったような本は、(少なくとも当時)ジュンク堂や紀伊國屋なんかには置いてませんでした。
だから神保町の専門書店か、紹介状の必要な図書館になかったら諦めるしかなかったです。
(在庫切れで取り寄せを依頼したら、入手不能の連絡が、数ヶ月後にが届いたり)
そういう、既成の流通ルートをあまり期待してなさそうな、学術書専門の出版社(お客は研究者か
大学図書館)なら、そっちに賭ける気になるかもしれません。
もっとも、情報機器の扱いに熟達した教授や研究者の多い分野でないと望み薄...?
Re: (スコア:0)
マス相手の内容で無いと二面作戦は無理だろうと思われます。
ましてや、主要購買層の学生相手の販売を海賊版の危機に陥れそうな方法は。
Re: (スコア:0)
> リアル本屋が街中からまったく消えてしまうのもさびしいが、
amazonが来る前から、街中の本屋さんがどんどん潰れてます。
残ってるのはコンビニと信長とジュンク堂くらい。
# 半年前に出た坊主本 [amazon.co.jp]を頼んだら2週間かかって「本屋オワタ」と感じてはや十余年...